Q1 医療事故と言えるのかどうかわかりませんが、相談できますか。
Q6 他県の病院での医療事故ですが、岡山医療問題研究会で相談できますか。
Q9 診療所や病院からカルテのコピーをもらうことはできますか。
Q12 裁判はしたくありませんが、裁判以外に何か方法はありますか。
Q14 裁判やその他の解決方法で、それぞれどのくらい時間が掛かりますか。
Q15 昨年の手術で、医療ミスを疑っていますが、注意点がありますか。
Q16 医療ミスと思われる処置の後、状態が悪化し、今日明日の状態の家族がいるのですが、万が一のときは、解剖をしてもらった方がよいですか。
Q1 医療事故と言えるのかどうかわかりませんが、相談できますか。
明らかに医療事故でないというものでなければ、相談に応じます。
医療機関側の患者・家族に対する説明不足(説明義務違反)も、広い意味では医療事故と言えます。
医療事故について、医師や医療機関に損害賠償請求をすることを考えている方についての相談です。
治療方法や治療費、医師や医療機関の評価についての相談は行っておりません。
相談お申込みのページから、相談カードをダウンロードしプリントアウトし、必要事項をご記入の上、FAXまたは郵送してください。メールによる受付は行っていません。
相談カードをダウンロードできる環境にいない方は、研究会事務局に電話してください。相談カードを郵送します。
原則として、相談担当の弁護士の法律事務所での相談となります。
ただし、ご高齢・健康上の理由等で、法律事務所へ来ていただくことが困難な場合には、ご自宅等へ出張することもあります。なお、別途費用が必要です。
2016年1月から,毎月1回,定例で,医療事故無料電話相談を行っております。
詳しくは,トップページをご覧ください。
Q6 他県の病院での医療事故ですが、岡山医療問題研究会で相談できますか。
他県の病院であっても、相談を受け付けています。ただし、相談を他県で行う場合には、相談料の他に交通費等が掛かります。また、医療事故調査等を行う場合にも、交通費等の費用が別途掛かります。
事故から時間が経過すると、時効の問題が生じますが、10年以内であれば、多くの場合、損害の請求は可能です。また、10年を経過していても、事案によっては請求が可能な場合もあります。
時間が経過していることを理由にあきらめずに、まずは相談してみてください。
当研究会では、相談を申し込まれた方には事前に「調査カード」をお送りし、それに診療経過などを記載していただいています(調査カードは相談お申込みのページからダウンロード可能です。)。
できる範囲で結構ですが、「調査カード」に、できるだけ正確に診療経過等を記載してお送りください。
カルテや診断書等の資料がお手元にある場合は、それらの資料を相談にお持ちください。
Q9 診療所や病院からカルテのコピーをもらうことはできますか。
カルテのコピーをもらうことはできます。カルテのコピーについては、相談前に、患者であるご本人が診療所や病院に対して請求することができますし、相談した後に依頼した弁護士から請求することもできます。
相談前にカルテのコピーを請求しても診療所や病院がそれに応じない場合、弁護士に相談することをおすすめします。
調査カードを送っていただいた後、事務局で担当弁護士を決めます。その後、担当弁護士から直接ご連絡させていただき、相談日を決めることになります。
調査カードを送っていただいてから担当弁護士からご連絡させていただくまでに通常2週間から1か月程度を要します。その後、担当弁護士と日程調整していただきますので、相談までには普通1か月位ですが、3か月位かかる場合もあります。
お急ぎの場合には、調査カードにその旨と、お急ぎの理由を付記してください。
弁護士は依頼者の意思を最も優先しますので、依頼者が裁判をしたいという意思をお持ちであれば、まず裁判をする方向で検討します。
もっとも、弁護士は、依頼者の話を聞き、関係資料を調査したうえで、法的な視点から医療過誤とはいえないと判断した場合や、証拠上明らかに依頼者に不利な認定をされる可能性が高いと判断した場合には、その旨を依頼者に説明することもあります。
また、いきなり裁判をするのではなく、まずは示談交渉など裁判以外の方法による解決を試みるのが最善であると考えた場合には、その旨を説明することもあります。
したがって、必ず裁判をしますと約束することはできませんが、弁護士は、依頼者とよく協議したうえで、依頼者のために最適な解決方法を提案いたします。
Q12 裁判はしたくありませんが、裁判以外に何か方法はありますか。
紛争を解決する方法としては、裁判以外に、示談交渉、調停、仲裁といった方法があります。
示談交渉とは、弁護士が医療機関と直接交渉する方法です。
事前に入手したカルテの調査結果その他の資料から、医療機関に明確な過失が認められる場合であれば、医療機関が自らの責任を認めて示談に応じることがありますが、そうでない場合には医療機関が自らの責任を認めることは少ないと言えます。したがって、示談交渉だけでは紛争が解決しないことがあります。
調停とは、裁判所で話し合いによって紛争解決を目指す手続です。裁判所という中立的かつ公的な機関が関与することで、示談交渉より話し合いがまとまりやすく、成立した合意には判決と同じ効力が与えられるといった利点はありますが、あくまでも話し合いなので、合意に至らなければ紛争は解決しません。
仲裁とは、岡山弁護士会が設立した医療仲裁センター岡山(弁護士会館内)で話し合いによって紛争解決を目指す手続です。
中立的な立場の弁護士が仲裁人として間に入り、和解あっせんを行います。双方の当事者が仲裁人に解決のための結論を委ねた場合、仲裁人が仲裁判断をすることもあります。事案によっては、中立的な立場の医師も仲裁人に加わります。
裁判所という国家機関で行う調停よりも手続きに柔軟性があり、中立的な立場の医師が関与することがあるという点で専門性に優れていますが、患者側が仲裁を申し立てても、医療機関が仲裁の利用に応じないということが多々ありますし、医療機関が仲裁のテーブルについたとしても、双方の当事者が仲裁人に解決のための結論を委ねない場合、合意に至らなければ紛争は解決しません。
裁判とは、患者側と病院側がそれぞれ主張と立証を展開し、最終的に和解で終わることはあるものの、基本的には裁判官に判断してもらって判決をもらうという手続です。したがって、双方の当事者が合意に至らなくても一定の結論が得られる手続ですが、一般的にほかの方法と比べて費用や時間が掛かります。
当会では相談、調査、法的手続等に要する費用について一律の基準は設けていませんが、次のとおり、費用の一応の目安を提案しています(手続と費用のページもご覧ください)。
依頼内容を決めて、担当弁護士に見積もりをしてもらってください。
【弁護士費用(別途消費税がかかります)】
・相談…1時間1万円
・調査、証拠収集…10万円~30万円
(ただし、証拠保全手続をとったときは30万円)
・交渉、調停、訴訟…以下の着手金と成功報酬
着手金……請求する額の5~8%(ただし、下限は20万円)
成功報酬…得られた利益の10~15%
【実費】
・協力医謝礼…3万円~50万円
(関与の度合い、書面作成の有無等で異なります)
・訴訟申立費用…1千万円の請求なら5万円、1億円なら32万円
(請求額により決まります)
・裁判所による鑑定…30万円~50万円
(被告と分担することもあります)
・その他…通信費、交通費、謄写代等が必要になります。
Q14 裁判やその他の解決方法で、それぞれどのくらい時間が掛かりますか。
裁判にかかる時間は、ケースごとでさまざまですが、数か月(事案簡明で、裁判所の和解勧告を双方が受諾するようなケース)から、8年を要するようなこと(事案複雑で過失や因果関係が最高裁判所まで争われたケース)もあります。
ちなみに、最高裁判所のデータ(平成25年の速報値)によれば、一審での平均審理期間(提訴から和解あるいは判決で裁判が終わるまで)は約23.3か月とされています。
また、その他の解決のうち、示談交渉については、早ければ数か月で決着がつくこともありますが、2、3年を要するものもあります。損害額について双方の言い分が食い違う場合などに時間を要したりしていますが、訴訟よりは早期の解決が見込めます。
簡易裁判所の調停や弁護士会が主催する医療仲裁(示談あっせん)についても、交渉と同程度の時間を要しているようです。
Q15 昨年の手術で、医療ミスを疑っていますが、注意点がありますか。
はじめに申し上げておきたいのは、医療を受けた後、好ましくない結果(死亡や障害)が生じた場合、2つの場合があることを理解しておく必要があることです。
すなわち、好ましくない結果が、通常医師が行わないような手術をしたことが原因による場合と、手術や患者自身の危険性が原因による場合があるということです。
次に、医師の手術に問題があったか否かを見極めるためには、情報が必要です。
これまでに医師や病院からもらった手術説明書や、状態が悪くなってからの病状説明書、あるいはお薬情報といった資料は捨てずに保管しましょう。また、記憶が新しいうちに、これまでの経過をメモしておくことも大切です。
情報として一番重要なのは、カルテ等の診療記録です。この診療記録の入手方法には、次の2つの方法があります。
・開示請求を行う方法(医療機関に任意に開示を求めるもので、裁判所などの手を借りないもの)
・証拠保全を行う方法(裁判所に申立をして裁判所の手を借りて診療記録の写しを入手するもの)
いずれの方法がよいかは、一概には言えませんが、開示請求の場合はご本人で十分対応可能な手続きですので、まずは、開示請求制度のある病院かどうか確認してみることです。もちろん、開示請求を弁護士に依頼することも可能です。
最後に、医師等に対し説明を求める場合の注意点ですが、単に医療ミスがあったのではないですかといった漠然とした質問では、相手も答えにくいと思います。難しい面はありますが、カルテを検討したうえで疑問点を絞って質問事項をまとめ、できれば書面化して、事前に送付し、診療時間とは別にそのための時間をとってもらって、回答してもらうようにした方がよいでしょう。
Q16 医療ミスと思われる処置の後、状態が悪化し、今日明日の状態の家族がいるのですが、万が一のときは、解剖をしてもらった方がよいですか。
死因が不明であると、医療側の責任追及が困難になることもあります。万が一のときは、その死因を解明するために、解剖をお勧めします。
ところで、医療ミスが疑われる場合に行われる解剖には、司法解剖と病理解剖の2つがあります。
司法解剖は、犯罪(医療過誤は業務上過失致死罪に該当する場合があります。)の疑いがある場合に、刑事訴訟法の手続きによって行われる解剖です。
他方、病理解剖は、遺族の承諾を得て、死体解剖保存法に基づき当該医療機関によって行われる解剖です。
公正性の観点からは司法解剖が優れているのですが、その解剖結果を知ることが容易でないという問題点も抱えています。
また、平成27年10月1日からは、医療法改正により、医療事故調査制度が開始し、同制度による解剖のメニューも増えることとなりそうです。
なお、画像だけですべてが分かるわけではありませんが、遺体を傷つけず迅速に死因を把握するために、CT等の画像診断を利用することもあります。Ai(=Autopsy imaging )と呼ばれています。
最高裁判所のデータ(平成25年の速報値)によれば、地裁民事第1審医事関係訴訟事件の認容率は24.7%です。ただし、この認容率とは、判決総数に対して認容件数の占める割合であり、認容には一部認容も含みます。
なお、通常訴訟事件で人証調べが行われた事件(被告が争った事件)では、認容率は62.2%ですから、医療裁判に勝訴するためのハードルは高いと言えます。